ミナミで芸術(上方浮世絵館)
ミナミで芸術やアートを鑑賞できるスペースを紹介していきます。
見れば見るほど不思議
法善寺の門前に見れば見るほど不思議な、白い猫が壁から飛び出した建物があります。
こちらは、浮世絵が鑑賞できる私設美術館で「上方浮世絵館」です。
1階は和小物のお店で、2階から4階が展示室になっています。外壁には猫だけでなく、野生稲のモミの彫刻も飛び出していて、想像力が膨らむ楽しい建物です。一歩踏み入れると天井が色鮮やかで、いざ異空間へ出発です。
「上方浮世絵」
こちらで見ることのできる浮世絵は「上方浮世絵」で、常時展示しているのは世界で唯一です。「上方浮世絵」とは、大阪で江戸時代に摺られた浮世絵のことで、美人画や風景画が少なく、当時上演された歌舞伎の千両役者の名舞台を描いたものがほとんど、ということが特徴です。今で言うブロマイドです。
中でも上方浮世絵の役者たちは美化されることなく、そのまんまを描いたことも特徴です。‘リアルモダン’、上方浮世絵こそが往時を活写したすぐれたものなのです。海外ではOSAKA PRINTSと呼ばれて人気があることをご存知でしたか?
浮世絵は日本独自の文化でしかも民衆の文化です。浮世絵師といえば江戸の安藤広重、葛飾北斎が有名ですが、上方で活躍した絵師もたくさんいました。
夢かうつつかまぼろしか
2010年12月7日から2011年3月21日までは‘夢かうつつかまぼろしか’「不可思議世界の芝居」というテーマで、変身変化した奇妙な生物や怨霊などが登場する芝居のワンシーンが描かれた空想の世界の作品を楽しめます。大蛇や狐、ぬえ(顔は猿、胴体は狸、手足が虎で、尾は蛇!)、幽霊などが出てくるお芝居、実際に観てみたくなります。
こちらの浮世絵館では年に4回3か月ごとに展示替えをしていて、毎回違った作品が鑑賞できます。松竹座や文楽劇場にも近いので歌舞伎や文楽とあわせて見に来ると、楽しみが倍増すること間違いなしです。
飛び出す野生稲
ところで、建物から飛び出している稲のモミについて館長の高野さんにお話を伺いました。1730年に堂島米会所が公認されて大阪は「天下の台所」の地位を確立し、日本の経済を左右してきた経緯があり、お米に縁があります。そして、モミといっても野生稲のモミにこだわったのは、遺伝子交配される世の中だからこそ、原種の野生稲のモミを壁に彫刻することで食物の問題や環境問題を道行く人にメッセージとして投げかけていらっしゃるのです。
街づくりの視点で考えると、このような個性派の建物が存在すると街歩きも楽しくなるし、周りにもいい影響があるのではと思いました。
井原西鶴や近松門左衛門の時代、道頓堀はブロードウェーさながらの興業地でした。中座、角座の役者がそぞろ歩いた歴史ある場所であるご当地で鑑賞できることに、とても意味が有ると思いますので、是非お訪ね頂きたいと思います。
浮世絵は実際に摺る体験ができます。3名以上から1人500円で予約が必要です。
上方浮世絵館情報
開館日 毎週火曜~日曜日および祝日
休館日 毎週月曜(祝日は翌日)
開館時間 午前11時から午後6時(入館は午後5時30分まで)
入館料 一般500円 小中学生300円
場所 大阪市中央区難波1-6-4
法善寺・水掛不動門前
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