ミナミまちある記 Minami Walking Report

ミナミで芸術(南海ビル)

残暑もすぎて、いよいよ秋到来。「文化の秋」「芸術の秋」ということで、今回のまちある記では、お買い物やお出かけでミナミへ遊びにきた際に、ぶらりと立ち寄っていただきたい「文化」「芸術」のスポットをご紹介します。

登録有形文化財に登録
ミナミ・なんばのど真ん中に国指定の登録有形文化財があるのをご存知でしょうか?普段何気なくご利用されている方もいらっしゃるかもしれません。2011年の2月に、なんばの玄関口、髙島屋大阪店・南海難波駅のある「南海ビル」が登録有形文化財に登録されました。戦前の1932(昭和7)年に、当時の最先端建築技術を駆使して建てられた「南海ビル」。途中途中で改修を重ねながらも、当時のままの姿で今もなお、多くの方に利用され愛され続けています。

まずは「南海ビル」全体を見てみよう
まずは少し離れたところから建物全体をご覧ください。角の丸みや古代ギリシャを彷彿させるコリント式の柱の丸み、柱と柱をつなぐアーチの丸み…この曲線美の数々!屋上の真っ青な「ラピート」地球の丸みさえも美しく感じます。
夜になると建物がライトアップされ、南海ビルのアールの美しさがさらに際立ちます。

近づいて「南海ビル」を見てみよう
全体を見渡したあとは「南海ビル」に近づいてください。そして外壁に触って、よーく観察してみてください。素焼きのタイルが一枚一枚、丁寧に張り合わされていることがわかります。タイル一枚一枚には模様が付けられており、それらのタイルが合わさって、アカンサスや壷などの華やかなデザインを生み出しています。素晴らしいですね!でも、いったい、何枚のタイルが使用されているのでしょうか?1万枚?10万枚?100万枚?とても気になります。タイルの枚数が気になって気になって仕事が手につかないという方がいらっしゃいましたら、野鳥の会に入会した気分で望遠鏡とカウンターを手にタイルの枚数をぜひ数えてみてください。大量のテラコッタタイルを焼いた80年前の技術者にあっぱれです。

「南海ビル」の中に入って
最後に髙島屋大阪店の1階の正面玄関から「南海ビル」の中に入ってください。キラキラした女性のアクセサリーゾーンが広がっています。『おおっ!可愛いアクセサリー発見!』アクセサリーに後ろ髪を引かれながらも、正面玄関すぐ隣の中央エレベーターで8階へ。エレベーターを降りて、屋上ガーデン、レストスペースを抜けて西へ向かと見えてきましたのは真っ赤な鳥居。ではなくて、その鳥居のすぐそばの、まるでパルテノン神殿みたいな小さな建造物(装飾塔)にご注目ください。この装飾塔も竣工当時からほぼ変わらぬ姿をしています。現在、塔の周りには安全のためのフェンスが張り巡らされて立ち入り禁止になっていますが、建設当時はそんなフェンスもなく、御堂筋と大阪の街を見わたせる人気の眺望スポットだったことでしょう。


塔の上に載っている壷の形をした装飾も、人の目につかないところにあるというのに、なんて精巧に作られているのでしょうか。ちなみに壷のモチーフには「貯蔵」という意味があり、「お金が貯まりますように」という願いが込められているそうです。銀行が所有する歴史あるビルには「壷」のモチーフが至とるところに使用されているので、是非探してみてください。

最後に
ミナミ・なんばのど真ん中にある登録有形文化財の「南海ビル」。普段何気なく立ち寄っている建物が文化財だったとは!と驚かれた方もいらっしゃるのでは?通勤やお買い物のご利用だけでなく、文化財の鑑賞として、時間に余裕があるときに是非ビル歩きをしてみてください。

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